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メンバーが辞めたいと言った日の夜|引き留めずに向き合う話

メンバーが辞めたいと言った日の夜 ― 引き留めるよりも大切だったこと

「ちょっと相談があって…」

その一言で、空気が変わった。

いつもは冗談を言うタイプのメンバーだった。
Slackでも軽いノリ。
レビューも素直。

しかし、その日は声が少し硬かった。

「正直、辞めることも考えています。」

そこで、時間が止まった気がした。
そして、リーダー脳が一気に回り始めた。


引き留めるべきか?が頭をよぎった

まず最初に浮かんだのは、正直これだった。

  • どうやって引き留めるか
  • 案件をどう回すか
  • 穴をどう埋めるか
  • 周囲にどう説明するか

しかし、すぐに違和感を覚えた。

それって、自分都合じゃないか?

その人の人生より、チーム都合を優先していないか?

そのため、一度だけ深呼吸した。
ここで間違えると、信頼が崩れる。

「今夜は結論を出さない」と決めた

例えば、退職の相談は“熱”がある。
相談する側も、受ける側も揺れる。

したがって、最初のゴールをこう置いた。

  • 今の本音を安全に出してもらう
  • 辞めたい理由を“言語化”する
  • 辞める/残るの判断材料を揃える

つまり、引き留めの勝負にしない。
キャリアの整理の場にする。


本当に考えるべきは「その人の将来」だった

そこで、聞いたのはたった一つ。

「もし辞めたら、どんな未来を目指したい?」

すると、話の軸が変わった。

一方で「辞めたいです」は、理由の塊だ。
さらに掘ると、だいたいは“未来の不足”が出てくる。

例えば、こんな方向に話が進んだ。

・今の案件で何が足りないのか
・将来どんなエンジニアになりたいのか
・今の環境はそれに近づいているのか

つまり、辞めるか残るかの議論ではない。
「キャリアの方向性」の話になった。

その瞬間、対立構造が消えた。
同じ地図を見て話せるようになった。

“辞めたい理由”を3つに分けると整理しやすい

さらに、理由をそのまま受け取ると混線する。
そこで、ざっくり3分類で整理した。

  • 業務要因:役割・難易度・裁量・評価のズレ
  • 環境要因:体制・文化・コミュニケーション・負荷
  • キャリア要因:目指す方向と経験のミスマッチ

例えば「成長できない」は、キャリア要因に見える。
しかし実は、業務要因(任せ方)だったりする。

したがって、分類してから具体を詰めた。
ここで初めて「残る選択」も現実味を帯びる。


リーダーの役割は“引き留めること”じゃない

あの日、気づいた。

リーダーの仕事は、人数を守ることだけじゃない。

むしろ、その人が後悔しない選択をできるようにすること。
そして、選択した後の飛躍に必要な材料を揃えること。

だから、こう伝えた。

「残ってほしい気持ちはある。
でも、将来にとって正しいなら応援する。」

正直、言いながら少し怖かった。

しかし、不思議と空気は柔らいだ。
“引き留め面談”ではなくなったからだと思う。

その場で使える質問テンプレ

例えば、次の順番で聞くと、会話が崩れにくい。

  • まず「何が起きた?」(事実)
  • 次に「どう感じた?」(感情)
  • さらに「何が一番しんどい?」(核心)
  • そのため「理想は何?」(望み)
  • 最後に「残る/辞めるで得たいものは?」(未来)

そして、沈黙が出たら急がない。
急ぐほど、相手は“結論”を置きにいく。


辞める=失敗じゃない

メンバーが辞めると、リーダーは責任を感じる。
さらに、引き継ぎや再配置で胃が痛くなる。

しかし、現実はそんなに単純じゃない。

  • キャリアの方向性が変わることもある
  • 環境との相性もある
  • 家庭や体調などタイミングもある

例えば、社会全体でも労働移動は起きている。
厚生労働省の雇用動向調査では、入職率・離職率が示される。
「移る」こと自体は珍しくない。
参考:令和5年雇用動向調査結果の概況(厚労省PDF)

そのため、全部をリーダーの失敗にしない。
ただし、放置もしない。

むしろ大事なのは、これだ。

「その人が次の場所で飛躍できる状態で送り出せるか」

“応援して送り出す”にも準備がいる

例えば、辞める方向が濃いなら、次の準備を前倒しでやる。

  • 強み・実績の棚卸し(職務経歴の材料)
  • 次の志向の明確化(何をやりたいか)
  • 引き継ぎ範囲の切り出し(チームを守る)
  • 評価の言語化(本人の納得を残す)

つまり、送り出すのは“放任”じゃない。
伴走しながら整える行為だ。


あの日の夜、眠れなかった理由

帰宅しても、頭から離れなかった。

「自分はちゃんと向き合えていただろうか」

さらに、こんな自問が出てくる。

引き留めなかったことは正解だったのか。
もっと成長機会を作れなかったのか。
見えていないSOSが前からあったのか。

しかし今は思う。

あの日、自分は“マネージャー”ではなく、
“伴走者”でいられたと思う。

リーダー側の「自己防衛」を点検する

例えば、引き留めたい衝動の裏には、恐れが混ざる。

  • 抜けたら回らない恐れ
  • 評価が下がる恐れ
  • 周囲に責められる恐れ

そのため、面談の前に自分へ一言だけ言う。

「今日はこの人の未来を整理する日」

これで、言葉選びが少しマシになる。


今なら、こう動く

もしまた同じことが起きたら、次は“夜を迎える前”に手を打つ。

  • 1on1で定期的にキャリアの話をする
  • 評価軸を言語化して共有する
  • 成長実感を可視化する
  • 「残る/辞める」ではなく「どこに向かうか」を軸にする

さらに、チームとして仕組みに落とす。

例えば、月1で次の3点だけでもいい。

  • 今月できるようになったこと
  • 詰まっていること
  • 来月伸ばしたいこと

これだけで、離職の“突然感”は減る。

判断を一緒にするためのミニフレーム

例えば、面談の最後にこの2軸で整理する。

  • 今の環境で埋められる不足:役割調整、レビュー体制、目標の再設定
  • 今の環境では埋めにくい不足:ドメイン転向、職種転換、勤務地・働き方の制約

そのため、結論はこう置く。

「埋められる不足は、いつまでにどう変えるか。
埋めにくい不足は、転機としてどう準備するか。」

つまり、残るも辞めるも“前向きな設計”にする。


これを読んでいるリーダーへ

メンバーが辞めたいと言ったとき、焦らなくていい。

しかし、軽く扱うのも違う。

まずは、未来の話をしよう。

引き留めるかどうかは、そのあとでいい。

そして、リーダーの学びとして残すなら、次の記事も役に立つ。

最後に、これだけは言いたい。

その人の飛躍を願えるリーダーは、きっともう十分、信頼されている。

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記事監修

ドライブライン編集部

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