WinSCPの使い方徹底解説|現場で安全にデプロイする基本の流れ
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多くの現場では、Webアプリやシステムを更新するときに「WinSCP」というツールを使います。
この記事では、未経験・新人エンジニア向けに、WinSCPを使って安全にファイルをサーバーへアップロード(デプロイ)する流れを解説します。
失敗しやすいポイントや、現場で使える設定例も一緒に紹介します。
WinSCPってなに?
WinSCP(ウィンスクープ)は、Windows用のファイル転送ツールです。
左に「自分のパソコンのファイル」、右に「サーバー上のファイル」が並んで表示され、
ドラッグ&ドロップでファイルをアップロードできます。
- FTPやSFTPなどのプロトコルでサーバーに接続できる
- 差分アップロードができる(変更されたファイルだけ反映)
- 同期機能でローカルとサーバーを揃えられる
- SSH鍵を使って安全に接続できる
ただし、設定を間違えると本番データを消してしまうこともあるので、基本をしっかり押さえましょう。
WinSCPの初期設定(接続まで)
1. サーバーに接続する
- WinSCPを起動して「新しいサイト」をクリック
- ファイルプロトコル:SFTP を選択
- ホスト名:サーバーのドメインまたはIPアドレス
- ポート番号:通常は
22 - ユーザ名:指定されたログインユーザ
- 「詳細」→「認証」→秘密鍵(
.ppk)を指定
※パスワードログインではなく、SSH鍵での接続が基本です。
2. 接続確認
「ログイン」をクリックすると、左にローカル(自分のPC)、右にサーバー(リモート)のファイルが表示されます。
これで準備完了です。
実務で使う:安全なアップロードの手順
1. アップロード前に確認すること
- アップロード先のパス(例:
/var/www/html/) - バックアップを取っているか
- 上書きしていいファイルかどうか
「これ上げていい?」と必ず確認しましょう。
2. 差分アップロードのやり方
- ローカルの更新済みファイルを選択
- 右クリック → 「アップロード」
- 「転送設定」→ 「既存のファイル」= 新しければ上書き に設定
これで変更のあったファイルだけが上書きされます。無駄なアップロードや事故を防げます。
3. ディレクトリ同期の使い方
WinSCPの「ディレクトリ同期」を使うと、ローカルとサーバーの内容を自動で比べて揃えることができます。
- 「コマンド」→「ディレクトリを同期」をクリック
- 同期方向を ローカル → リモート に設定
- 「削除を有効にする」は最初はOFFにしておく
- 「比較」ボタンで変更点を確認 → 問題なければ実行
ファイルが消える=サービスが止まる、というケースもあります。
よくあるトラブルと対策
| トラブル | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| ファイルが反映されない | キャッシュやブラウザのリロード不足 | Ctrl + F5で強制リロード、または一度削除して再アップロード |
| Permission denied と出る | 権限不足、またはアップロード先ディレクトリが違う | サーバー管理者に権限確認を依頼 |
| サイトが真っ白になった | 誤って重要ファイルを上書きした | バックアップから復元(上書き前のファイルを残しておくのが鉄則) |
新人が覚えておきたい3つのルール
- 必ず比較してからアップロード
- 本番と開発環境を間違えない
- 削除系の操作は先輩に確認
現場でのWinSCPの使いどころ
WinSCPは、Webアプリやシステム開発現場でさまざまな場面に登場します。
たとえば、テスト環境で成果物を配置したり、画像・CSV・ログを一時的に取得したりするときです。
- 検証環境への反映: ビルド後の静的ファイル(HTML/CSS/JSなど)を一時的に配置
- サーバーログの取得: SSHが使えないときにGUIでダウンロード
- 設定ファイルの差分確認: 現場で「設定どっちが正しい?」と聞かれたときに便利
こうした軽作業でも、サーバー接続は責任が伴います。
「単なるファイル転送」ではなく、「本番運用の一部」だと意識して操作するのが大切です。
便利な応用機能3選(覚えておくと差がつく)
- ファイル比較(差分表示)
ローカルとサーバーの同名ファイルを選んで右クリック→「ファイルを比較」。
更新内容を目で確認できるので、誤上書きを防げます。 - 転送履歴の確認
「コマンド」→「転送履歴」から、いつどのファイルを上げたかがわかります。
トラブル時に「いつ変更したか」が追えるのは非常に重要です。 - スクリプト自動化
実務では「同じパターンで毎回アップロードする」ことが多いです。
WinSCPではスクリプト化してバッチ実行も可能なので、慣れてきたら挑戦してみましょう。
先輩が教えてくれた「安全確認のゴールデンルール」
現場では、「ただ動かす」よりも「安全に作業すること」が評価されます。
以下の3つは筆者が実際に教わった基本ルールです。
- アップロード前に一呼吸置く:「これ本当に本番?」と確認
- 転送後にブラウザ確認:反映したページをすぐ開いて動作確認
- ミスしたら即報告:小さな上書きでも共有・修正
この「報連相」が早いだけで、先輩やリーダーからの信頼度が大きく変わります。
技術も大事ですが、こうした安全意識が“現場力”につながります。
ステップアップのために
WinSCPの操作に慣れてきたら、次はコマンドラインや自動化ツール(例:GitHub Actions、scpコマンド)を使ったデプロイにも触れてみましょう。
そうすることで、「GUIで安全に操作する段階」から「仕組みで安全に運用する段階」に成長できます。
まずはWinSCPでデプロイの流れを体で覚え、「どうすればミスを減らせるか」を意識すること。
それが未経験エンジニアから“信頼される実務者”への第一歩です。
まとめ:WinSCPを「安全な武器」として使いこなそう

WinSCPは、誰でも簡単にファイルを上げられる便利なツールですが、
使い方を間違えると大きなトラブルを起こす可能性があります。
逆に、接続・差分・同期・権限の基本を理解して使えば、
「安心して任せられるエンジニア」として信頼されるようになります。
まずは検証環境で練習しながら、少しずつ「安全な操作」を身につけましょう。