【2025年最新】社内SEとSIerの違いを徹底比較|年収・働き方・将来性をデータで解説

「今のSIerの働き方がつらい…社内SEに転職したら楽になるんだろうか?」
「社内SEとSIer、結局どっちが将来性があって、年収も高くなるんだろう?」
エンジニアとしてキャリアを考える上で、多くの人がこの「社内SE vs SIer」という問いに直面します。一方で、同じ「システムエンジニア」という名前でも、その役割、働き方、求められるスキルは全くの別物です。そのため、安易なイメージだけで転職を決めてしまうと、「こんなはずじゃなかった…」と後悔するケースも少なくありません。
結論から言えば、どちらが良い・悪いという話ではなく、あなたの価値観やキャリアプランにどちらが合っているかを見極めることが全てです。
この記事では、2025年の最新データに基づき、「社内SEとSIerの違い」を年収・働きやすさ・将来性といった誰もが気になるポイントから徹底比較します。この記事を読めば、あなたがどちらの道に進むべきか、明確な答えが見つかるはずです。
CONTENTS
【結論】一目でわかる!社内SEとSIerの比較早見表
まずは、両者の違いを一覧で確認しましょう。各項目の詳細は後ほど詳しく解説します。
項目 | 社内SE | SIer |
---|---|---|
立場・目的 | 自社のためのシステム企画・運用(ユーザー) | 顧客のためのシステム開発・納品(ベンダー) |
平均年収 | 512万円(安定・高め) | 479万円(幅広く、成果次第) |
働きやすさ | ◎ 納期が比較的緩やか、残業少なめ | △ プロジェクトによる、繁忙期は激務 |
成長スピード | △ 緩やか、特定領域に深くなる | ◎ 速い、多様な業界・技術を経験 |
人間関係 | 社内調整・コミュニケーションが中心 | 顧客・協力会社との折衝・交渉が中心 |
向いている人 | 安定志向、一つのサービスを育てたい人 | 挑戦志向、様々なプロジェクトを経験したい人 |
※平均年収はdoda 平均年収ランキング(2024年9月発表)より引用
そもそも何が違う?立場と目的から見る根本的な違い
年収や働き方の違いは、両者の「立場」と「事業目的」の根本的な違いから生まれます。
社内SE:自社の事業成長をITで支える「守りの要」
社内SEは、自社の社員が使うシステムやITインフラ全般を担当するエンジニアです。そのため、最大のミッションは「自社の事業活動を円滑にし、生産性を向上させること」です。
例えば、基幹システム(販売管理、会計など)の企画、開発、運用保守を行います。また、社内ネットワークやサーバーの管理も担当します。
さらに、社員からのITに関する問い合わせ対応(ヘルプデスク)も重要な業務です。加えて、情報セキュリティ対策の策定と実行も行います。
このように、ユーザー(自社の社員)と直接対話し、長期的な視点で自社システムを育てていくのが特徴です。したがって、技術力だけでなく、深い業務知識と社内調整能力が求められます。
SIer:顧客の課題をITで解決する「攻めの専門家集団」
一方でSIer(システムインテグレーター)は、顧客企業から依頼を受け、システムの設計・開発・納品を行うITのプロフェッショナルです。そのため、ミッションは「顧客のビジネス課題をITソリューションで解決し、利益を上げること」にあります。
顧客へのヒアリングと要件定義から始まります。また、システムの設計、プログラミング、テストも実施します。
さらに、プロジェクトの進捗・品質・コスト管理(プロジェクトマネジメント)も担当します。加えて、納品後の運用サポートも行います。
このように、金融、製造、通信など様々な業界の顧客を相手に、プロジェクト単位で仕事を進めます。そのため、幅広い業界知識と、納期や予算といった制約の中で成果を出すプロジェクト遂行能力が不可欠です。
【データで比較】年収・働きやすさ・将来性のリアル
キャリアを選択する上で最も気になるであろう「お金」「時間」「将来性」について、公的データや民間調査を基にリアルな実態を比較します。
平均年収は「社内SE」に軍配が上がる傾向
dodaの最新調査によると、平均年収は社内SEが512万円、SIer/受託開発が479万円と、社内SEの方が高い結果となっています。これは、近年多くの事業会社がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しているためです。したがって、優秀なIT人材を好待遇で確保しようとする動きが活発化しています。
しかし、これはあくまで平均値です。SIerでも、マネジメント層になれば年収1000万円を超えるケースは珍しくありません。一方で、社内SEは会社の給与テーブルに依存するため、急激な年収アップは難しい傾向があります。
そのため、安定的に高い水準を目指すなら社内SE、若いうちから成果次第で高収入を狙うならSIerという側面もあります。
ワークライフバランスは社内SEが優位
働きやすさの面では、一般的に社内SEの方が優位と言われています。
納期に関しては、社内SEは自社内の調整で済むため比較的柔軟です。しかし、SIerは顧客との契約であるため厳守が絶対です。そのため、プロジェクトの終盤は激務になりがちです。
また、残業時間については、dodaの調査でも、社内SEの残業時間はIT系職種の中で比較的少ない傾向にあります。
さらに、勤務地も異なります。社内SEは自社オフィス勤務が基本です。一方で、SIerは顧客先に常駐(客先常駐)することも多く、プロジェクトごとに勤務地が変わる可能性があります。
しかし、近年はSIer業界でも働き方改革が進んでいます。厚生労働省の統計でも情報通信業の労働時間は減少傾向にあります。さらに、リモートワークの普及も進んでいるため、「SIer = 激務」というイメージは過去のものになりつつあります。
スキルアップと将来性:「多様性のSIer」と「専門性の社内SE」
キャリアの将来性を考える上では、スキルの身につけ方が大きく異なります。
SIerの最大のメリットは、多様な経験を短期間で積めることです。様々な業界の、様々な技術を使ったプロジェクトに関わることができます。したがって、市場価値の高いスキルセットを効率的に構築できます。
一方で、社内SEは自社の特定システムに長期間関わることが多いです。そのため、技術領域が限定され、スキルが陳腐化してしまうリスクも指摘されています。
しかし、これは一概には言えません。IPA(情報処理推進機構)の「DX白書2023」が示すように、今や事業会社自身がITを駆使して新たなサービスを生み出す時代です。そのため、先進的な取り組みを行う企業の社内SEになれば、クラウドやAIといった最新技術に触れる機会も豊富にあります。
結局のところ、会社の文化や配属される部署によって成長環境は大きく変わるため、転職活動では企業ごとの実態をしっかり見極めることが重要です。
【メリット・デメリット】あなたに向いているのはどっち?
これまでの比較を踏まえ、それぞれのメリット・デメリットと、向いている人の特徴をまとめます。
社内SEのメリット・デメリットと向いている人
メリット
安定した環境で働け、ワークライフバランスを保ちやすいです。また、ユーザー(社員)の反応がダイレクトに分かり、やりがいを感じやすいです。
さらに、腰を据えて自社サービスやシステムを改善・成長させていけます。
デメリット
会社の業績やIT投資の方針にキャリアが左右されます。また、技術以外の社内調整や雑務(ヘルプデスクなど)が多い場合があります。
さらに、環境によっては、スキルの陳腐化リスクがあります。
→ こんな人におすすめ:安定した環境で働きたい人、事業の当事者として貢献したい人、コミュニケーション能力に自信がある人。
SIerのメリット・デメリットと向いている人
メリット
多様な業界・規模のプロジェクトを経験でき、成長スピードが速いです。また、汎用性の高いプロジェクトマネジメントスキルが身につきます。
さらに、成果次第で若いうちから高いポジションや年収を狙えます。
デメリット
プロジェクトによっては激務になりやすいです。また、客先常駐や多重下請け構造など、労働環境が不安定な場合があります。
さらに、顧客と自社の板挟みになるなど、精神的なプレッシャーが大きいことがあります。
→ こんな人におすすめ:とにかく早く成長したい人、様々な技術や業界に触れたい人、論理的思考力や交渉力に自信がある人。
まとめ:キャリアの軸を明確にし、後悔のない選択を
社内SEとSIer、どちらの道を選ぶべきか。その答えは、あなたの外にはありません。あなたがキャリアにおいて何を最も重視するのか、その「軸」を明確にすることが、後悔しない選択への唯一の道です。
「安定」と「貢献」を重視するなら、社内SEが適しています。
一方で、「成長」と「挑戦」を重視するなら、SIerが向いています。
どちらの職種も、日本のIT社会を支える上で不可欠な存在です。この記事で得た知識を基に、ぜひご自身の価値観と向き合い、最適なキャリアを歩んでください。