リモート開発という名のダンジョンへ──未経験エンジニアが2つの現場で見た“古代遺物”と成長の物語
 
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はじめに
エンジニアとしての冒険は、ある日突然始まりました。
この物語は、未経験で現場という名の“ダンジョン”に飛び込み、数々のクエスト(=案件)を乗り越えてきた私の記録です。
どちらの現場もリモートという“離れの塔”からの作業。
仲間の顔も見えないまま、チャットという魔法のスクロールでやり取りする日々。
そんな中で得た知恵、苦労、そして笑いを――今日は、少しファンタジーを交えて語ります。
第一のダンジョン:テストエンジニアの修行場
最初の現場は、テストエンジニア兼調査の修行場。
武器も防具もない状態で突入し、まず出会ったのは“コンサル語”という古代呪文。
「それ、どういう意味?」と唱えるたびにMP(メンタルポイント)が削られていきました。
成果物という名のアーティファクトを作るのも初めてで、何をどう書けばいいのかまるで霧の中。
そしてリモート。顔も見えない。声も届かない。
チャットの向こうにいる仲間たちは、きっとどこか別の塔で戦っているのでしょう。
そこで私はある魔法を覚えました。
そう――スタンプ魔法。
「💦」「🙏」「😅」――これを使えば相手の怒りゲージが下がり、会話が少し柔らかくなる。
これこそ、リモートの世界で生き抜くための第一のスキルでした。
通信魔法(チャット)との戦い
リモートの世界では、言葉選びがすべて。
相手の感情を読めないぶん、スタンプと文脈で戦うしかない。
チャットはまるで魔法書のように積み上がり、ログを追うだけで一日が終わることもありました。
それでも、少しずつ「言葉の使い方」や「質問の仕方」を覚え、
気づけば論理的に話す力と文章力という新たなスキルを手に入れていました。
第二のダンジョン:設計という名の迷宮へ
二つ目の現場は、より深いダンジョン。
今度のロールはSE(システムエンジニア)。
最初の頃は端末設定やテストという“入り口のモンスター”を倒すところから始まりましたが、
気づけば基本設計 → 詳細設計 → 製造 → 単体テスト → 内部結合 → 外部結合という全工程に挑むクエストに突入。
「装備は整っていないけど……行くしかない!」
そんな気持ちで、一歩ずつ設計の迷宮を進みました。
一案件目で得た知識や調査力という“初期装備”が、ここで光を放ちます。
古代Java文明との遭遇
迷宮の奥で待っていたのは、Java 8という名の古代遺物。
私が学んできたのはJava 18や20――現代の洗練された文明の技術。
それに比べて、8はまるで石碑のような構文。
「……え、ラムダどこいった?」
「Optional?そんな未来的なもの、ないよ。」
そんな時代を感じさせる文法に出会い、思わずため息。
さらに出てきたのは独自フレームワークという魔導書。
その動きを理解するのに何日もかかり、「この呪文、どこで発動してるんだ!?」と叫んだこともしばしば。
けれども、構造を読み解くスキルが身につくたびに、少しずつこの遺跡(プロジェクト)の仕組みが見えてきました。
いまではレガシーコードを見ると、ちょっとした考古学者の気分です。
既存システムという迷宮の謎
改修案件――それは“壊してはいけない神殿”を修復するクエスト。
前任者の設計書とソースコードを突き合わせながら、
「この人はどんな意図でこの魔法陣を書いたんだろう……」と推理していく。
気づけば私は、コード界の名探偵コナンと化していました。
一行の修正が他システムに影響を及ぼす。
そのスリルは、まさにJengaの塔を揺らすような感覚。
でも、その一つひとつを乗り越えるたびに、自分の中のスキルツリーが確実に伸びていくのを感じました。
二つのダンジョンで得たスキル
- リモートでも“質問力”と“発信力”は最強スキル(スタンプは回復魔法)
- 古代の技術(Java 8)も理解すれば強力な武器になる
- 調査・設計・実装の全体像を体験すると、一気にステータスが上がる
- 前任者の意図を読み取る「洞察のスキル」は必須
さいごに

まだまだ冒険は続きます。
でも、この2つの現場で得た経験は、確実に自分の中の“ジョブレベル”を上げてくれました。
学んだことをひとつずつ整理し、次のクエストに活かしていく。
そうして少しずつ強くなっていく――それが、エンジニアという職業の面白さだと思います。
もし今、あなたがリモートの迷宮で孤独に戦っているなら、まずはこう伝えたい。
スタンプを一つ送れ。そこから物語が動き出す。
 
			 
                 
                     
                         
                        