【2025年最新】SESの単価相場と給料の仕組み|還元率70%超えを目指す方法も解説

「自分のSES単価は適正なのだろうか?」
「還元率が低くて給料が上がらない…」
SES(システムエンジニアリングサービス)で働く多くのエンジニアが、このような悩みや疑問を抱えています。
SESは、契約単価や会社への還元率、案件の商流といった独自の仕組みによって給料が大きく変動します。
したがって、その構造を正しく理解することが収入アップの第一歩です。
この記事では、2025年の最新データに基づき、SESの単価相場から給料の決まり方、高収入を目指すための具体的な方法までを徹底的に解説します。今の待遇に満足していない方も、これからSES業界を目指す方も、ぜひご一読ください。
CONTENTS
SESで給料が決まる3つの重要指標|単価・還元率・商流
SESエンジニアの給料を理解するには、まず「単価」「還元率」「商流」という3つのキーワードを理解する必要があります。
SESの給料を左右する3大要素
① 単価(契約金)とは、あなたのスキルに対して、クライアント企業がSES企業に支払う月額の報酬です。
一方で、② 還元率は、単価のうち、あなたの給与原資(額面算出前)になる割合を示します。
さらに、③ 商流は、クライアントとあなたの間に何社の仲介企業が入っているかを示す構造です。
単価と還元率の関係
給料の計算は非常にシンプルです。例えば、クライアントが支払う月額単価が80万円の案件があるとします。さらに、あなたの所属するSES企業の還元率が70%だった場合、計算式は以下の通りです。
80万円(単価) × 70%(還元率) = 56万円(給与原資)
この56万円から、会社の負担分を含む各種コストの扱いにより、あなたの給与(額面)・手取りが決まります。還元率が50%の企業であれば、同じ単価でも給与原資は40万円に下がります。したがって、還元率が10%違うだけで、年収が100万円以上変わることも珍しくありません。
還元率とは?定義の違いと“高還元”の見極め方
※還元率は一般に60~70%が目安とされますが、算出方法は会社により異なります。数字だけでなく内訳の確認が重要です(参考:SES還元率の相場と計算、ESESブログ、Wantedly記事)。
1) 額面ベース(グロス)での還元率
「単価 × 還元率 = 給与原資」を額面ベースで示す方式です。ここでの“給与原資”は、会社負担の社会保険料や交通費・福利厚生費の扱いにより、最終的な給与額と差が出ます。企業により、これらの一部を“原資に含める/含めない”の基準が異なります。(参考:還元率に含める費目の違い)
2) 手取りベース(ネット)での還元率
“手取り想定”で見せる方式です。会社負担分を差し引いたうえでの見込みや、従業員負担の社会保険料・税金控除後の金額イメージが用いられることがあります。見かけの還元率が高くても、控除の前提次第で手取りは大きく変わります。(参考:Wantedly記事)
3) よくある“高還元”表示の落とし穴
- 交通費・福利厚生費・会社負担の社会保険料を原資に含めて還元率を高く見せる。
- 精算幅(例:140–180h)外の稼働控除/超過精算の条件が不利。
- 案件待機中の給与を後で差し引くなどの規定。(参考:待機給与の差し引き例)
- 平均ではなく最高手当ベースの数字だけを提示。
定義の確認チェックリスト(面談・内定前に要確認)
- 還元率の算定式(分母:売上のどこまでを含む? 分子:何を“還元”とみなす?)
- 会社負担の社会保険料・交通費・福利厚生費・待機給与の扱い
- 精算幅と控除/超過のルール、有給・待機時の給与
- 商流とマージンの内訳開示、平均還元率とレンジ
※還元率の透明性が低いとトラブルの原因になります。内訳の事前確認を推奨します(参考:高還元SESの不透明性)。
商流の深さと中間マージン
「商流が深い」とは、元請け企業(プライム案件)から二次請け、三次請け…と、多くの仲介企業が存在する状態を指します。企業を一つ経由するごとに10%~20%の中間マージンが抜かれます。したがって、商流が深くなるほどエンジニアに届く単価は低くなります。
したがって、高収入を目指すには、できるだけ商流の浅い(クライアント直請けに近い)案件を選ぶことが重要です。(商流が利益率を左右する一般的知見の解説:HR Tech Guide)
【2025年最新】職種・経験年数別のSES単価相場
それでは、実際の単価相場はどのくらいなのでしょうか。ここでは、大手フリーランスエージェントの公開データを基に、最新の単価相場を見ていきましょう。
職種別の月額単価相場
需要の高いスキルや上流工程を担当できる職種ほど、単価は高くなる傾向があります。
職種 | 月額単価相場(実務経験3年以上) | 特徴・求められるスキル |
---|---|---|
プロジェクトマネージャー | 80万円~120万円 | プロジェクト全体の管理能力、リーダーシップ。大規模案件の経験が評価される。 |
システムエンジニア(SE) | 65万円~90万円 | 要件定義、基本設計などの上流工程スキル。業務知識も重要。 |
クラウドエンジニア | 70万円~100万円 | AWS, Azure, GCPの設計・構築経験。特にコンテナ技術(Docker/Kubernetes)の需要が高い。 |
プログラマー(PG) | 60万円~80万円 | Python, Go, TypeScriptなどモダンな言語スキル。フレームワークの知見。 |
テストエンジニア | 50万円~70万円 | テスト自動化(Selenium, Playwright)のスキルや、品質保証全体の設計能力。 |
※上記はレバテックフリーランスの公開案件データなどを参考に作成した目安です。
経験年数による単価の違い
経験1~3年(若手層)の月額単価は40万円~60万円です。まずは開発経験を積み、得意分野を見つける時期です。
経験3~5年(中堅層)の月額単価は60万円~80万円です。設計や後輩指導など、担当できる範囲が広がり単価が大きく伸びる時期です。
経験5年以上(ベテラン層)の月額単価は80万円~です。専門スキルを極めるか、マネジメントに進むかでキャリアが分かれます。したがって、100万円を超える単価も視野に入ります。
SESで給料が低いと感じる原因と、今すぐできる改善策
もし現在の給料に不満があるなら、その原因を特定し、適切な対策を打つことが重要です。
給料が伸び悩む3つの主な原因
まず、還元率が低い企業に所属している(60%未満など)ケースがあります。
また、商流の深い案件ばかり紹介される(三次請け、四次請けなど)という状況も問題です。
さらに、自分のスキルや経験が正当に評価され、単価に反映されていない場合もあります。
まずは、自分の契約単価と還元率の算定式を会社に確認しましょう。優良なSES企業であれば、単価や評価制度は透明性が高く、きちんと開示してくれます。
しかし、もし単価を教えてもらえない、還元率の内訳が曖昧といった場合は、より条件の良い企業への転職を検討すべきサインかもしれません。(不透明性への注意喚起:解説記事)
SESで単価と給料を上げるための具体的なアクションプラン
収入を最大化するためには、受け身ではなく能動的に行動を起こす必要があります。
① 市場価値の高いスキルを習得する
需要の高い技術を身につけることが、単価アップの最も確実な方法です。
クラウド技術としては、AWS, Azure, GCPがあります。特にAWSの主要な認定資格(SAAなど)は評価が高いです。
また、モダンな開発言語としては、Python, Go, TypeScript, Rustなどがあります。
さらに、上流工程スキルも重要です。要件定義や基本設計の経験を積むことで、役割がPGからSEへと変わります。したがって、単価が上がります。
② 単価交渉を戦略的に行う
成果を具体的に示して、自身の価値をアピールしましょう。契約更新や評価面談のタイミングが交渉のチャンスです。
交渉で使えるアピール材料の例
定量的成果としては、「担当機能の開発で、処理速度を30%改善しました」「テスト自動化により、工数を月20時間削減しました」といった実績があります。
一方で、定性的貢献としては、「後輩のコードレビューや技術指導を担当しました」「顧客から〇〇の点について高く評価されました」といった内容があります。
さらに、市場価値の提示も効果的です。「現在の市場では、私のスキルセット(AWS認定保有など)は月額〇〇円程度の単価が相場です」と伝えましょう。
日頃から営業担当と良好な関係を築き、キャリアプランを共有しておくことも重要です。
③ より良い条件の環境へ移る(転職・フリーランス)
現在の会社で昇給が見込めない場合は、環境を変えるのが最も手っ取り早い解決策です。
高還元率SES企業への転職を検討しましょう。還元率70%以上を公表している企業や、商流の浅いプライム案件に強い企業を選びましょう。
一方で、フリーランスへの転身という選択肢もあります。仲介マージンを最小限に抑え、単価の大部分を収入にできます。ただし、案件獲得の営業力や、税金・保険の手続きを自分で行う必要があります。
フリーランスは高収入の可能性がありますが、安定性とのトレードオフになります。したがって、自身のスキルレベルやライフプランに合わせて慎重に検討しましょう。
まとめ:仕組みを理解し、主体的に行動して収入を最大化しよう
本記事では、SESの単価と給料の仕組み、そして収入を上げるための具体的な方法を解説しました。
SESで高収入を得るために最も重要なのは、「単価」「還元率」「商流」の仕組みを正しく理解し、自分の市場価値を客観的に把握することです。その上で、スキルアップ、戦略的な交渉、そして時には転職という選択肢も視野に入れながら、主体的にキャリアを築いていく姿勢が求められます。
まずはこの記事を参考に、ご自身の現在の単価が適正かを見直すところから始めてみてください。